授業2:映像を作曲の制作アイデアにする

授業の概要

この授業では、生徒は映画の作曲家が使用した音を特定して分析します。 次に、付属のLiveセット“Use Images as Inspiration for Compostion”を使って生徒は映像から受けた刺激をもとに、短い音楽のアイデアを作曲して録音します。 

学習目的

  • 分析と聴解力 – 音楽的な決まり事を見つけて、説明する
  • 技術リテラシー – MIDI録音と編集の効果的な使い方
  • 創造性 – 映像に音楽がどう対応するのか想像する

準備(10分)

授業(50~90分)

  • ステップ1:はじめに – 同じ映画の場面で、異なるサウンドトラックと合わせた例を見る(5-10分)
  • ステップ2:リスニング課題 – マインドマップを使って生徒は音楽を聴いて分析し、音楽と感情の喚起に関連する議論をする(10-15分)
  • ステップ3:課題の実践 – Liveセット“Use Images as Inspiration for Compostion”とリンク先のウェブサイトを使って、生徒は刺激を受ける映像を選択して短い音楽作品を作曲し、Liveのアレンジメントビューに録音する*(15-30分)
  • ステップ4:まとめ – 生徒は音楽のアイデアをエクスポートして共有する(5-10分)

 実践の補足:

* 生徒が上記のような作業の経験がない場合は、MIDI録音と編集の指導のために追加時間を確保しましょう。

はじめに:映画における音楽の影響力と効用  

この授業の目的は、映画の色調や雰囲気を形成する上で音楽が果たす幅広い役割を生徒に認識してもらうことです。 

以下の動画では、映画の場面における音楽の影響力と効用を楽しく紹介しています。

音楽が映画に与える影響 #3

このビデオは『シャイニング』のクラシックな場面の上に、様々な映画の音楽の曲を重ね録りします。

Q. 音楽が変わると場面の雰囲気はどのように変化するでしょうか。

音楽が映画に与える影響 #8

『The Good, the Bad and the Ugly』の有名な張り詰めた場面に合わせて、様々なクラシック映画のサウンドトラックをマッシュアップしました。

Q. もしオリジナルとは違う曲を選ぶならどの曲にしますか。 その理由は?

リスニング課題:音楽と感情を関連づける 

このリスニング課題では、生徒は提供されたサウンドトラックを聴き、マインドマップを使って音楽と感情の間にある洞察や関連性を構築し、分析します。

「音の種類と、感情の喚起との関連性を生徒が分析して認識するために、マインドマップに記入してもらいます。」— マット·リッジウェイ(Matt Ridgway)

以下に提供されている例を聞いて、生徒は以下のことができるようになります:

  • それぞれの音と楽器を識別し、名前を付けることができる 
  • 音から想起される雰囲気や感情を認識する
  • 音と想起される雰囲気の関係性を説明してみる
  • 曲を作った人はなぜその方法で音を選択し、使用したのか、理由を提示する

目標:

  • 生徒は音楽的な語彙を身につけて、作曲家がどのように音や音楽を利用して気分を喚起させるのか、意見を述べましょう。

Atticus RossとTrent Reznorによる『ソーシャル・ネットワーク』のサウンドトラック

Atticus RossとTrent Reznorによる『ソーシャル・ネットワーク』のサウンドトラックには、示唆に富んだ興味をそそられる様々なサウンドが収録されています。

「Hand Covers Bruise」(1曲目の楽曲)は、ゆっくりとした繊細な流れを時間をかけて発展させ、構築している一例です。

Q.  時間の経過と共に、音はどのように変化していますか。

ヒント:この曲はゆっくりと組み立てられています。 生徒が繊細な流れを聞くことができない場合は、最初の3分以内に再生位置をジャンプさせてみましょう。

Hildur Guðnadóttirによる『ジョーカー』の楽曲

受賞歴のあるアイスランドの作曲家Hildur Guðnadóttirの『Joker』の楽曲は、暗くて陰鬱なものです。 この作品は、複数の音楽的要素を組み合わせることの有効性を示しています。

Q. この中でいくつの音が聞こえますか。

ヒント:目標は、最小限の音楽の要素だけで、いかに脅威を呼び起こすことができるかを生徒に理解させることです。 ここでは少ない方が豊かなのです。

『ストレンジャー·シングス』のサウンドトラック「Biking to School」

Kyle Dixon と Michael Steinの『ストレンジャー·シングス』のサウンドトラックに収録されている 「Biking to School 」は、明るくて幸せな曲です。

Q. この曲はどんな雰囲気を作っていますか? また、どのような音が明るく幸せな気分にさせてくれるのでしょうか。

ヒント:生徒はこの曲が演奏されているときの場面を想像してみましょう。 

授業のヒント:マインドマップで、感情と音の間に線を引く

リスニング課題ではマインドマップを使って、それぞれの音と楽器を識別し、音楽の雰囲気や感じ方を考えて名前を付けるように生徒に指示します。 そして、音と喚起される感情との間に線のような繋がりを描くことができます。 

完成したマインドマップの例

完成したマインドマップの例を使用して、生徒に使い方を説明しましょう。

記入用マインドマップ

インタラクティブなGoogle図形描画ドキュメントをコピーして生徒に使用してもらい、自身のデジタルマインドマップを作成するように指示しましょう。 

また、「ファイル」>「ダウンロード」では、テンプレートを他のファイル形式で保存して生徒と共有したり、単に印刷して配布することもできます。

【課題シート】記入用マインドマップ

Google図形描画

さらにGoogle図形描画について学ぶ

課題の実践:画像や映像を作曲のインスピレーションにする

生徒は画像や映像から刺激を得て、ペアまたは個人で短い音楽のアイデアを作曲し録音します。Liveセット“Use Images as Inspiration for Composition”を使って、画像の雰囲気や湧き上がった感情に合わせた音楽のアイデアを練り上げていきます。 

課題の順序

  1. 教師はLiveセット“Use Images as Inspiration for Composition”の使い方を実演し、説明する
  2. 生徒は画像素材集から選択し、画像から伝わる雰囲気を確認する
  3. 生徒は付属のLiveセット“Use Images as Inspiration for Composition”を探究し、自分の選んだ画像に合わせた短い音楽を作る
  4. LiveのアレンジメントビューにMIDI録音したり、多重録音する
  5. 生徒は作品をエクスポートしてクラスで共有する

「若者たちは、画像や映像が伝える雰囲気や感情を認識できるものです。 画像の雰囲気に合うのはどんな音か見極めることは、若い作曲家にとって絶好の第一歩となるのです。」— マット・リッジウェイ(Matt Ridgway)

LiveのアレンジメントビューにMIDIとオートメーションを記録しよう

この課題では、MIDIコントローラを使って1回のテイクでMIDIインストゥルメントを録音します。 そして追加のパートを重ね録りして、層に重なり合った曲を作ることができます。

このガイドでは、Liveのアレンジメントビューへの録音と多重録音の方法をステップバイステップで説明します。

【ガイド】LiveのアレンジメントビューにMIDIとオートメーションを記録しよう

Liveセット“Use Images as Inspiration for Composition”

Liveセット“Use Images as Inspiration for Composition”に収録されているインストゥルメント·ラックには、生徒が作曲に使用できる刺激的な音が含まれています。

【ダウンロード】Liveセット“Use Images as Inspiration for Composition”

  1. 映画スタイルの音色を奏でる4種類のInstrument Rack。演奏用にマクロを設定済み。
  2. Liveセットの収録物の概要。

映像と画像の素材集:刺激的で想像をかき立てる画像 

以下のウェブサイトには、生徒が作曲の制作意欲を得るために使用できる、刺激的で想像をかき立てる映像や画像集が掲載されています。 事前にいくつか選んでおくか、または生徒が自分で選ぶこともできます。

National Geographic

ナショナルジオグラフィックの風景画像は、生徒に広がりのある音楽的な想像を呼び起こすでしょう。

Erik Johansson

写真家Erik Johanssonによる超現実的な写真集は、独創的で幻想的な音楽の想像を促すことでしょう。

deMilked

写真家のMikko Lagerstedtの作品は、フィンランドの別世界のような場所で撮影されており、のポスターにもなり得る写真です。

shutterstock 

この不気味な森の画像集は、より暗く怖い音楽的な想像に適しているかもしれません。

より深く掘り下げる: 映画用の音 

音の素材を増やしたい場合は、多くの映画用の音をダウンロードすることができます。

Project Sam

Project SamのFree Orchestraは、映画のようなKontaktライブラリのコレクションを提供しています。

Spitfire audio

Spitfire audioは、無料のLABSソフトウェア·インストゥルメントから、素晴らしい映画用スコアリングサウンドのコレクションを提供しています。

映画用のLive Pack

Abletonのウェブサイトでは、たくさんの映画用のインストゥルメントやサンプル音源が利用可能です。