「変化とは人生のスパイスである」ということわざは昔から使い古されているものの、今もなお反芻すべき価値がある。 これを音楽にあてはめると、人間の耳をもっとも心地よくさせるのは画一性との均衡がとれた多様性であることが複数の研究によって示されている。 言い換えるなら、リスナーは慣れ親しんだ構造のなかで、けして多すぎない、適度な驚きをもたらす音楽に興味を惹かれるのだ。
この画一性と多様性のバランスを備えたエレクトロニックミュージック制作ツールの実現に熟考を重ねている人物こそ、Tom Cosmだ。 Ableton認定トレーナーでもあるCosmは、作曲プロセスに多様性やバリエーション、そして驚きをもたらすさまざまなデバイスやテクニックを生み出している。 今回、AbletonのビデオシリーズOne Thingに登場したTomは、1個のパートのバリエーション(この場合はベースライン)を組み合わせ、他の方法ではあり得ないようなひとつの新しいバージョンへまとめるためのシンプルで非常に効果的な手法を披露してくれている。
画一性と多様性のバランスというアイデアとさらに深くかかわっているのが、彼の手がけたLeakageというデバイスだろう。 Wavetableの持つ音色の可能性、そしてMax for Liveのコントローラとしての能力をフル活用したLeakageは、シーケンスに含まれる全ノートにまったく異なるベースラインのサウンドをもたらしてくれる。 当然ながら、完全にランダマイズされた多様性が常に望ましいとはかぎらない。そこで、Leakageを音楽的に役立つデバイスにするために、Tomは実に便利なコントロールパラメータを多数組みこんでいる。
Leakageは無料でダウンロード可能だ。ユーザーが支払いたいと思う金額を決めることもできる。
https://gumroad.com/l/wCYHWh(英語)
Cosmが手がけたその他の注目すべきデバイスとしては、Laura EscudéがOne Thingで使用して制御されたランダマイズを行ったSUP(Slightly Useful Plug-ins|英語)が挙げられる。
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