バークリー音楽大学で音楽制作とエンジニアリングの教授になる以前のSusan Rogersは、音楽プロデューサー、エンジニア、ミキサー、そして、音声技師として国際的に知られた存在だった。南カリフォルニアの高校を中退したあと、独学で熱心に勉強を行った彼女は、電気技術の演習で知識を習得するため、録音機器を設置する仕事に就いた。Crosby, Stills and NashのスタジオRudy Recordsで一時期を過ごしたあと、Rogersは1983年にミネソタへ移り、Princeのスタッフエンジニアを5年間務めることになった。このときにリリースされたのが、重要アルバム『Purple Rain』と『Sign o' the Times』だ。そして1990年代になると、Rogersのクライアントリストには、 David Byrne、Tricky、Tevin Campbell、Barenaked Ladiesのほか、多彩なアーティストの名前が並ぶようになる。
Rogersが高校の卒業証書を取得したのは44歳のときだ。今では、音楽認知と音響心理学を勉強したマギル大学から授かった心理学の博士号を保持するにいたっている。現在の彼女の研究では、聴覚の記憶、音楽信号の知覚、音楽教育の聴覚発達に及ぼす影響といったトピックに焦点があてられている。「Loop 2017」では、こうした専門的かつ個人的に豊かな経験を引き合いに出しながら、RogersはDennis DeStantisと対談。1980年代にPrinceと行った仕事やツアー、音の知覚という分野で行っている研究、音楽業界でのキャリア選択など、数多くの話題が語られることになった。