80年代の幕開け以来、テレビゲーム音楽は世界各地のリビングそしてゲームセンターで必ずといっていいほど耳にするようになりました。子供の頃一番よく聞いた音楽がゲーム音楽という人、ゲーム音楽が成長期のサウンドトラックだったという人も少なくないはずです。「ストリートファイター」や「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」といった名作に使用された8ビット、16ビット、FMサウンドは、現代の音楽の形成に大きな役割を果たしました。その影響はFlying LotusやKode 9といったアーティストの作品にも明白に現れています。しかし、皆に愛されてきたこれらの音楽を生み出した作曲家についてはどうでしょう?
「Diggin’ In The Carts」で、Red Bull Music Academyは不朽の名作を誕生させた人々を探るべく日本に飛びました。6回からなるこのビデオ・シリーズでは、ゲーム音楽の発展を分析し、その成立の物語を描いています。ビデオでは、下村陽子氏、田中宏和氏といった作曲家が紹介されています。原始的ともいえる技術を用いて世界を構築するためには創造力をふくらませることが必要ですが、それはあらゆる音楽制作に欠かせないものです。制約の中での作業がいかに不朽のサウンドの誕生へとつながるのか、また、インスピレーションが思いがけないところからやってくる様子を克明に説明しています。紹介されている作曲家たちは、極めてシンプルなツールを使用しながら雰囲気や感情を伝える方法を教えてくれます。