個人的であることを優先する:Sam Slaterがコラボする理由
誰かとコラボレーションする理由を考えるとき、演奏者から得られる技術やサウンド、またはプロデューサーによる音楽を向上するための視点を思い浮かべるかもしれません。 つまり、最終的な結果として、誰かのおかげで最高の音楽が作れるようになると考えます。 しかしながら、Sam Slaterは、コラボレーションによって制作された音楽が少し過大評価されすぎていると感じています。 「自分はむしろ友人を作ったり、音楽では得られないような、やりがいのある経験をしたいんです」とSamは笑います。 「たまにあるんです。『今作ったものは、誰にも聞かせないでおこう』ってね」
SamはパートナーであるHildur Guðnadóttirとのコラボレーションによって、『Joker』や『Chernobyl』といった映画音楽や、ゲーム『Battlefield 2042』のミュージックコンクレート(具体音楽)的手法によるサウンドトラックなど、過去10年間にわたり、驚くべき音楽を生み出してきました。 だからこそ、「音楽的な出会いの1番良い結果は、何もないことかもしれない。少なくとも目に見えるものではないと思います」とSamが語ったことは意外でした。 今年のLoop Createのインタビューで、Samはコラボレーションに対する自身のアプローチについて、結果よりも関係を重要視していることを明かしています。 スタジオのほか、ステージやリハーサル室、そして、Zoomで他者と音楽を作る経験を振り返りながら、一緒に仕事をする人間から“価値を引き出そう”とするようなアプローチに、プロデューサーのSamは疑問を投げかけます。 また、友情や尊敬、謙虚さを軸に、「相手が最高のパフォーマンスを出せるように、隙間を空けておく」という、共同制作のあり方も提示してくれました。