House Racks: クラシック・ハウスのためのモダンなツールキット
Rackのスペシャリスト、UNDRGRND SOUNDSにより新Packは、幅広いハウス・ミュージックに役立つサウンドをシングル・パッケージでLiveおよびPushユーザーに提供します。微調整可能なマルチサンプルInstrument Rackにビンテージ・ハードウェアを詰め込んだこのPackは、Liveでの制作やパフォーマンスに使用するクラシックなハウス・サウンドをお探しの方に最適なソースです。
今すぐPackページを開いてHouse Racksのコンテンツの詳細を確認することもできますが、このブログでは、Packに収録されているクラシック・シンセのサウンドと、これらのサウンドが使用されているトラックを一部紹介しています。
DJ Pierreと同世代のシカゴ・ハウスのアーティストがTB–303をフィーチャーしアシッド・ハウス・シーンをスタートさせてから30年近くになります。全てはここから始まった、と言われるトラックがこちらです。
元はギタリストの練習用のベース伴奏としてデザインされた303の独特のスケルチは、未だにアンダーグラウンド・ハウスやテクノ・シーンで活躍するアーティストに欠かせないモチーフとなっています。より新しい音楽制作手法でアシッドの伝統を継承しているプロデューサーもいます。たとえば、シカゴのHieroglyphic Beingは、アシッドの雰囲気たっぷりのライブ・セットを完全にiPadアプリのみでプレイし、驚かせました。
iPadが有効なシンセ・ソースとして活躍するようになる数十年も前に、シンプルなRolandポリフォニック・シンセ(Mr. Fingersのシカゴ・ハウスの代表曲に使用されているJuno 60が有名)や、いくつかのモノフォニック・マシンが風の街シカゴのアンダーグラウンド・サウンドの確立に一役買っています。SH-101は、ピュアな矩形波とのこぎり波トーンに広く使用され、減算シンセの青写真となりました。そのベース・サウンドとリード・サウンドは力強く朗々とした音色をもたらし、この90年代の名曲のように数々のシカゴ・ハウス作品で使用されています。
もうひとつ、同時期にミシガン湖の対岸で出現した同様に特徴的なベース・サウンドもHouse Rocksコレクションに収録されています。次に紹介するデトロイトの名曲で使用されているKevin ‘Reese’ Saundersonが用いた洞くつを彷彿とさせるベースは、それ以降のさまざまなスタイルのダンス・ミュージックで多用され、Amen Break同様、ジャングル・ミュージックのサウンド・パレットの重要な一部となりました。
高校のクラスメートJuan AtkinsとDerrick Mayに並び、Saundersonはデトロイトで音楽革命を引き起こしました。その動きはテクノを超え、より深いハウスの領域へと到達しました。デトロイト・プロデューサーの第三の波と呼ばれる一群(Rick WadeやLive愛好者のMike Huckabyなど)は、ウェーブテーブル・シンセにより可能となるジャズ・スケールを展開するメタリックなトーンに組み合わせることによりディープ・ハウスという独自のブランドを築いています。ウェーブテーブルにのめり込んだHuckabyはEP『My Life with the Wave』をリリースしますが、そのメロディックな要素はすべてWaldorf Waveのサウンドから構成されています。
Waldorf NW1やKorg WavestationサウンドはHouse RacksのマルチサンプルWaveおよびPad Instrument Rackに含まれています。
前述のアナログ・シンセやウェーブテーブル・シンセはこういったスタイルのハウスに大きく貢献し、ジャンルの最も典型的なサウンドの一部は完全デジタル・シンセのものです。たとえばKorg M1は90年代ハウスの代名詞となるサウンドをもたらしました。George Morelが多くの作品を生み出したStrictly Rhythmレーベルからリリースした、シンセにより再現されるオルガンを柔軟に操るダンスフロア向け作品をお聞きください。
M1と他のデジタル・ワークステーションのサウンドは、よりメインストリーム寄りのヒット作品にも波及しました。Nightcrawlerの『Push the Feeling on』とRobin Sの『Show Me Love』のMKによるリミックスは、このユーチューバーが紹介している忘れられないリフを含む90年代ハウスのヒット作の数々を牽引しました。
ここで紹介したすべてのシンセ同様、House RacksはマルチサンプルのInstrument Rack形式でサウンドを手近に届けます。これらをループ、ドラム、FXの各ラックの聞き覚えのあるサウンドに追加すれば、厚みのあるクラシックなハウスを作成できます(Pushやその他のコントローラーを使用すればさらに楽しめます)。Pack詳細とオーディオ・クリップについて詳しくはPackページをご覧ください。