「自分にとっては、それがどこから来たのかはあまり重要ではなくて、それをどのように活かすのかが重要なんだ」Dauwd Al Hilaliはこう話します。 イギリスで活躍するプロデューサーDauwdは、オールドジャズのレコードや自然でのフィールドレコーディングなど、一見では互いに異質な音源から音楽を生み出しています。 「レコードのクラックルノイズみたいにフラットなサウンドにだってリズムはあるんだ」
ビートを作成する際、Dauwdは「そのものに固有のリズム」を探します。このリズムを彼は次のように定義しています。「思いもよらない何か、たとえば、地面に落ちたり、地面を転がったりする何かに含まれるグルーヴを捉えるんだ。 そこには無限のディテールが存在する。そのものが生み出す「自然なグルーヴ/リズム」を抽出するんだ。 MIDIだけでそれを再現しオーガニックなサウンドを生み出すことは不可能だ」
DauwdのSamplerでのサンプル編集
こうしたありのままのリズムの探求と造形に、DauwdはSamplerを使用しています。 「Samplerを使えば、サンプルや録音内容を取り込んで、ループやマニピュレーションを加えることのできるリズムとサウンドを探すことができる」 またDauwdは、サンプルのスタート位置を編集したり、エンベロープやLFOをアサインしてサンプルをコンスタントに変化させるといった操作もよく使用します。 ボーカルサンプルでも、Dauwdは同じく独特のアプローチを採っています。 「ボーカルも他のサウンドと同じような方法で取り込んでいるよ。 ボーカルの内容自体にはあまりフォーカスしないで、サウンドの合間のイントネーションや『リズム』に注目する。 Samplerなら、あらゆるソースからボーカル要素を持つサウンドの断片を簡単に見つけることができるんだ」
Dauwdのドラムプログラミングは、彼独自のサンプリング方法にマッチしています。 ドラムシーケンス作成時にImpulseを使用してMIDIノートをグリッドから少しずらすのです。 「コマンドキー(WindowsではAltキー)を押したままMIDIノートをドラッグすれば、簡単にノートをグリッドからずらして音楽に自然なフィーリングを加えることができる。パーカッションのパターンにスウィングを加えたい時なんかには特に便利だ」
DauwdのSamplerでのエンベロープ
DauwdはこのLive Packで自身のワークフローを紹介しています。Abletonのベルリンオフィス訪問時に録音されたこのLive Packは、Dauwdのレーベルウェブサイトからダウンロード可能です。