Binkbeats:ループを究める
Liveにかぎらず、通常の電子制作ツールを使っている人の多くにとって、ループは新曲作りの起点になることが多い。 ところが、最初のループが優れていたとしても、そこからどうやって先に進めばいいのかわからなくなることがある。気が付くと、「どうすれば、ループで音楽を作って、しかもそこに構造を持たせられるんだろう? どうすれば、ループを軸にした音楽にメリハリをつけられるんだろう? それをリアルタイムでパフォーマンスとして行うには、どうするんだろう?」と自問している人は多いだろう。
そうした問題を解決することで制作方法すべてを築いてきたのではないかと思わせる音楽制作者がいる。オランダのユトレヒト出身、Binkbeatsとして知られるFrank Wienkだ。 パーカッション奏者として指導を受けた彼が現在の音楽キャリアを歩み始めたのは、Madlib、Flying Lotus、J. Dilla、Aphex Twinなど、さまざまなアーティストのトラックをアコースティック楽器で再現したことによるものだ。リンク先のリアルタイムパフォーマンスを収めたビデオは、Binkbeatsのライブショウに多くの観客を集める助けになっただけでなく、自分の技をさらに磨いていくうえでも重要だった。
そこで今回のアーティストビデオでは、スタジオからステージまでBinkbeatsに密着し、ループテクニックを使ってループから楽曲を作る方法を間近で撮影することにした。 撮影中は、現在のセットアップにたどりついだ経緯や、これまでに乗り越えてなければならなかった技術的問題のほか、アレンジメントや楽曲構造に対する制作アプローチがパーフェクトなループをパーフェクトな楽曲へ変貌させるカギを握っている模様など、多くのことを知ることができた。
Binkbeatsの複雑なセットアップを完全にコピーしたい/する必要のある人はそれほどいないだろうが、すべてのパーツがひとつに組み合わされる様子からは学べるものが多い。 次のビデオでは、楽器をLiveへ取り込むときの音の流れをBinkbeatsがひとつずつ解説しながら、Liveを用いて精巧なアレンジを臨機応変に作り上げていく方法を披露している。 その中核にあるのは、録音やループの処理を正確にコントロールするためのカスタムメイドのMax for Liveデバイスだ。今回、BinkbeatsはこのMax for Liveデバイスを気前よく提供してくれている。彼のウェブサイトから無料でダウンロード可能だ。
このデバイスがライブで動作する様子は、次のBinkbeatsのパフォーマンスで確認できる。こちらは、昨年、ロサンゼルスでAbletonが開催したイベント「Loop」で撮影されたものだ。