Laura Escudéは、さまざまな肩書きを持つ女性です。Ableton認定トレーナーであり、サウンド・デザイン・メーカーでありレコード・レーベルのElectronic Creatives創立者である彼女は、長年にわたってサウンド分野に従事しています。しかし、何よりもまずアーティストである彼女はここ最近Alluxe名義で活動しており、パフォーマンスやミュージック・ビデオを通して音楽でも輝きを見せています。AbletonはLauraにインタビューを実施し、Liveの使用歴、Alluxeプロジェクトについての自身の見解、要求の厳しいスーパースターとのツアーでの作業について話を聞きました。下からお読みいただけます。Lauraの無償Effect Rackをダウンロードすることも可能です。
Ableton Liveに出会ったきっかけは何でしたか?Ableton認定トレーナーとしての活動歴はどれくらいになりますか?
Ableton Liveには、M-Audioのテクニカル・サポート部門で働いていた頃、2005年に出会いました。当時、M-AudioがAbletonのディストリビューションを行っていたので、「Oxygen 8にバンドルされていた『アルバトロン』とかいうソフトウェアを試しているんだけど…」といった電話に対応していたんです。こういった質問に答えるために、ソフトウェアについて知ろうと思ったのがきっかけです。そうしたらAbletonが大好きになって、このソフトウェアばかり使用するようになりました。2007年にAbletonで西海岸担当のプロダクト・スペシャリストとして働き、認定プログラムの確立を手助けした後、2008年に初の認定トレーナーのひとりとなりました。
多くのミュージシャンにとって、「サウンド・デザイン」は重要ではあるけれど、定義があやふやな用語といえます。プロのサウンド・デザイナーとして、ご自身の活動をどのように分類されますか?
サウンド・デザインは、私にとってさまざまなキャパシティにおいてさまざまな意味を持っています。数年前、ある映画のスコア制作に関わる機会があり、長編映画用の「サウンド・デザイン」を担当しました。映画のサウンド・エフェクトすべてを変更することもあれば、音楽やサウンド・エフェクトとともに使用されるサウンド・ベッドを作成することもあります。劇場で、特定のスピーカーにサウンドを配置する「サウンド・デザイナー」たちとも仕事をしたこともあります。今はもっぱら、サウンドを録音し変更を加えて、私自身のプロジェクトに使用するユニークなサウンドを作成しています。
あなたはクラシックの教育を受けたバイオリニストでもありますが、サウンド・マニピュレーターでありビートメイカーでもあります。トラック制作では、アコースティック、またはエレクトロニックのどちらサイドから作業を開始しますか?あるいはハイブリッドにどちらとも?
最近はアップテンポなビート主導の音楽により重点を置いているので、ほとんどの場合、エレクトロニック・ドラムから初めてヴァイブやテンポを作成します。バイオリンと声に加えて、Live 9のMIDI変換機能を使用してメロディをシンセで演奏しています。キーボードを使用するよりも、この方がアイデアが出やすいんです。アコースティックなサウンドにエフェクトをかけてそこにシンセを重ねることもあります。楽しいですね。
Alluxe Cello Effect Rackをダウンロード
Alluxe Cello Effect Rackは非常にみずみずしい印象を受けます。リバーブ/フィードバック・テイルが豊富で、ディストーションやフィルタリングの「ヒュー」といったサウンドが印象的です。このようなEffect Rackの典型的な使用法について、たとえばスタジオとライブのセッティングでお教えいただけますか?
Cello Effect Rackはほとんど無調なので、サウンド・デザイン・ツールとしての使用を想定しています。チェロを数々の変わった方法で演奏していて、さまざまな物体を使用して叩いたり、キーキーきしませたり反響させています。これらのエフェクトの一部はこれまで作成したもののなかでも特に気に入っていて、ライブ・セットでも使用しています。あらゆる種類の制作や作曲に使用でき、推移音、轟音、優美なサウンドを作成できます。少し他と違う変わったサウンドをお探しの方におすすめです。
最新のAlluxeでの素材の前にも、アルバム「Pororoca」で変わったサウンドを生み出していますね。あれから、アーティストとして何か変わったと思うことはありますか?
「Pororoca」をリリースしたのは2010年ですが、あれは長い間温めていた音楽のコレクションでした。一部は5年も温めていたものなんです。他のアーティストとリリースすることが多かったので、自分自身の作品を集めたのはこれが初めてでした。リリースしたときにはすでに別の作品の制作にとりかかっていたのですが、みずみずしく美しいシネマティックなチューンにのめり込んでいたこの時代に敬意を表する必要があると感じたんです。リリース後、ヒップホップの世界にどっぷりつかり始めました。2000年からダンス・ミュージックに夢中になり、私のムーディでシネマティックなヴァイブとこういったインスピレーションを組み合わせることにしたのです。いろいろと試してみた後、Alluxe(Allure(「魅力」)とLuxe(「贅沢」)の組み合わせ)プロジェクトのアイデアを思いついたんです。Lauraとして行っていた活動と、音楽業界のプロとしての活動と分けようと思いました。Alluxeはよりビート主導でダンスフロアに合う音楽です。ショーではよりオーディエンスとつながることができて、素晴らしい気分を味わえます。オーディエンスが音楽に合わせて体を動かすのを見るのが大好きなんです。フィジカルな反応を見ることでやりがいを得られますし、エネルギーを与えてもらって、やっていることが間違っていないんだと確信を持つことができます。つい最近、初のEP「Nomad」をリリースしました。また、Mr. Hudson、M83、Polica、New Beat Fundのリミックスを行いました。また、エキサイティングなコラボレーションもいくつかリリースされています。
あなたのクライアントにはビックネームが並んでいますね。カニエ・ウェストと一緒に仕事をすることになったきっかけは?M83はどうでしょう?
どのクライアントも紹介がきっかけでした。幸運なことに、ここ数年ネットワークを大きく広げることができました。Electronic Creativesを2009年から運営しており、オーディオ/ビジュアル・パフォーマンスに対する最先端のソリューションを設計・プログラムしています。推薦を受けたら、ネットワーク上にいる信頼のおけるアーティストに対して機会を作るようにしています。今秋は、カニエ・ウェスト、Drake、The Weeknd、Yeah Yeah Yeahs、Sleigh Bellsとショーを行いました。このようなネットワークを成長させることができ、才能ある人々にその才能を活かす場を見つけることができることは楽しいものです。タレント・エージェンシーとしても成長しています。ライブショーに関する技能を持つさまざまなアーティストと提携し、ライブショーをプログラムするだけでなく、最先端の機器を使用してショーを行うこともしています。ECの事業における次のステージがこれです。
アメリカのEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)シーンで活躍するアーティストでありながら、現在のEDMブームよりずっと前のジャンルにご興味をお持ちですね。また、ご自身の作品や、Electric Daisy Carnivalといったクライアントとの作品で、EDMが注目を集めていく様を最前線で体験されています。あなたにとって、EDMとは(ポジティブな意味で)どのような意味を持っていますか?また、シーンの拡大について問題だと考える点はありますか?
レイヴに足を運び、ダンス・ミュージック作品でバイオリンを弾いた後で、2000年にエレクトロニック・ミュージックの世界に足を踏み入れました。まずはトランス(Sasha & Digweed)、ドラムンベース(Metalheadz)ダウンテンポ(Kruder & Dorfmeister)に夢中になりましたが、その後はレイヴで耳にするものよりも変わったサウンドを探すようになりました。2002年頃に(Squarepusherの作品)「Do You Know Squarepusher?」を聞いてIDMにはまりました。あの曲は今でも大好きです。2003年には、私の初のソロ・ライブのためにタンパでMachinedrumをブッキングしました。Merckレーベルからリリースされる作品に心を奪われていたからです。当時の私は、音楽について今よりももっとこだわりがありました。エクスペリメンタルさがたりない音楽を受け入れようとしなかったのです。
そこから言えば、今のEDMブームをはねつけるのは簡単ですが、年月を重ねるにつれて、商業的音楽も受け入れるようになり、ダンサブルであるかどうかにより興味が動いています。とはいえ、今でも足繁く通うのは「アンダーグラウンド」なイベントだけです。近頃のレイヴは私には強烈すぎるし、変わったサウンドが好きなことに変わりはないので。歌詞や、曲のその他の要素には親近感が感じられませんが、EDMで使用されているサウンドには素晴らしいものがたくさんあります。以前よりもたくさんのものからインスピレーションを感じられるようになり、よりオープンになりました。音楽スタイルや細かなジャンルについて厳密になりたくありません。あらゆるものから優れたエッセンスを得たいと思っています。
EDMコミュニティが「アンダーグラウンド」でなくなってしまったことに戸惑いを感じている人がたくさんいることは知っています。でも、今こそジャンルの壁を越えたコラボレーションが行えるエキサイティングな時です。大物アーティストがまだ名の知られていないアーティストをたたえるのを見るとうれしい気持ちになります。10年前はこんなことは考えられませんでしたから。ジェイムス・ブレイクがUKの影響を受けたダブステップ作品を制作しようとして「失敗」し、独自のジャンルが生まれたとどこかで読みました。インターネットとさまざまなバックグラウンドが絡み合うのをポジティブに受け止めています。「EDM」であるかどうかに関わらず、生まれてくる音楽からインスピレーションを受け続けていくのですから。
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