808ベース作成チュートリアル:音作り~ミックス
1982年、ラジオを聞くと、Roland TR-808の人工的な打楽器音をMarvin Gayeのシングル『Sexual Healing』で耳にすることができた(『Sexual Healing』は、808を軸にしたポップミュージックで最初にヒットした曲だ)。 現在、ラジオを聞くと、耳にすることができるのは、Beyonce、The Weeknd、Travis Scott、Futureといった人たちのトラックで轟くベースとして使われている808だ。 いまやファットなサブベースの音として結び付けられるようになった808は、本物のドラマーの代役としてリズムを打ち込んで鳴らすという本来の用途からかけ離れている。
ポップミュージックで使用される808は、独特な軌跡を描いてきた。 Kanye Westが808を軸にしたアルバム『808s and Heartbreak』を2008年にリリースしたとき、そのサウンドは意図的にレトロな魅力を持たせたものだった。 80年代に最先端の技術だったものが、サウンド的に懐かしい作品として帰ってきたのだ。 それ以来、808はヒップホップの最前線を担う人たちに人気のベース音として現在の地位にいたり、ふたたび新鮮な音を響かせている。
Roland TR-808はこれまでにわずか12,000台しか製造されていないため、808のヘヴィなビートを作っているプロデューサーの大多数は実機に触れたことがない。 現代のヒップホップやトラップの多くで耳にする過度に強調したベース音は、808の象徴的なバスドラム(キック)のディケイを不自然なほど長くしたものから生まれたものだ。 そうしたバスドラムのサンプルは、ハイハット、クラップ、クラベス、スネアなど、808だとすぐに認識できる音と並んで、巷でとくに入手しやすく、頻繁にダウンロードされている。 そこで今回は、808でファットなベースラインを作成するためのチュートリアルからAbletonで人気の4本をまとめて、コンセプトからミキシングまでをカバーした。
【注意】ビデオの言語は英語のみです。
まずはこちら。SeriがコンプレッションとSimplerのピッチエンベロープを使って、どっしりと迫力のある808サウンドをキックなしで作るテクニックを紹介している。
次のチュートリアルではDECAPがLiveで3つの異なるテクニックを使って、スライド、グライド、ベンドを808のベースラインに適用している。
こちらは、Fanuがハードウェアやサンプルの代わりにLiveのシンセAnalogを使って808スタイルのベースを作成する方法を披露している。
倍音以外の成分も多く含む808はミックスしづらいことがある。 こちらのチュートリアルでは、CatandbeatsのGuidoがミキシングとサウンドデザインで808の音を引き立てるのに役立つテクニックを使って作業をわかりやすく説明している。